リハビリサポート

長寿高齢化の進展で脳疾患が増加

日本人の平均寿命は男性79.94歳 、女性86.41 歳に達し、世界有数の長寿を誇っています。一方で、高齢化とともに脳疾患も増える傾向にあり、重い介護負担に苦しむご家族は少なくありません。しかし、仮に重い後遺症が残ったとしても、適切なリハビリさえ行えば、患者様の状態を改善することは十分に可能です。今回は、脳梗塞で倒れたお父様のリハビリを目的として、本サービスをご利用いただいたケースをご紹介します。

高齢の父が脳梗塞で寝たきりに

80代のBさんが脳梗塞で倒れたのは3年前。大学病院の救急外来に搬送され、一命はとりとめましたが、家族と目を合わせることもできないような状態でした。つい数時間前までは普通に会話していたお父様が、突然、寝たきりの状態になってしまったのです。思いがけない成り行きに、ご家族は愕然としました。

幸いBさんは、3週間の入院治療により危険な状態を脱することができました。しかし、大学病院には長期入院できないため、退院後の行き先を早々に決めなければなりません。大学病院からリハビリ専門病院に転院するのか、それとも、退院して自宅に戻るのか――突然の選択を迫られ、ご家族は頭を抱えました。

親子3人が協力して在宅介護を開始

ご家族は悩んだ末、Bさんを自宅に引き取り、在宅で介護することを選びました。お父様は高齢のため、いつまで一緒にいられるかわからない。病院よりも自宅でリハビリを行ったほうが、お父様との時間を共有できると考えたからです。
ご長男とご長女も実家に同居していたため、介護の人手は足りています。家族3人で役割を分担すれば、しっかりと介護ができるのではないかという思いもありました。

ところが、仕事と介護の両立は思った以上に大変でした。ご家族が会社経営をしていた関係で、仕事に忙殺されることも多かったからです。それでも、ご家族の思いが伝わったのか、Bさんの状態にも変化が見え始めました。一時はアイコンタクトすらできなかったBさんでしたが、在宅療養を続けるうちに、ご家族と少しずつコミュニケーションがとれるようになっていったのです。

「ケアの質」についても期待したい、だからアラジンケアを選択

しかし、全介助状態の成人男性をケアするには、相当な体力が必要です。日を追うごとに、ご家族にも疲労の色が濃くなりました。このままでは、Bさんにとっても家族にとってもよい結果にならないと考えたご家族は、話し合いの末、外部の力を借りることを決意しました。

とはいえ、そのことで介護の質が下がっては、何の意味もありません。1年間家族だけでがんばってきた努力を無にしないためにも、「リハビリを重視し、今までよりも質の高いケアを実現したい」というのが、ご家族の総意でした。
そこで、懇意にしている大学病院の医師に相談したところ、紹介されたのが弊社の自費の看護サービスでした。こうして、弊社の看護師がBさん宅を訪問することになったのです。

週3回の訪問で、生活リハビリを実施

打ち合わせの結果、看護師がBさん宅に週3回うかがい、6時間程度のケアを提供することになりました。食事や移動、排泄、入浴といったADL(日常生活動作)の向上を目指して、生活の中で身体機能を回復できるようなケアメニューを作成。Bさんの状況を注意深く見守りながら、リハビリを行うように努めました。

その成果は、目に見える形で表れました。看護師が訪問するようになってから、Bさんの反応が目に見えてよくなり始めたのです。その変化に一番驚いたのは、1年間そばで見守ってきたご家族でした。
「家族だけで世話していたときとは、反応が全然違います。やっぱり、専門家のケアは違いますね」
そう言いながら、ご家族は喜びを隠せない様子です。その顔には、お父様を思いやる愛情があふれていました。

最期の瞬間までベストを尽くす

看護師の最初の訪問から1年ほど経った頃、Bさんは静かに息を引き取りました。退院後はベッドから離れることはできませんでしたが、それでもリハビリによって、少しずつでもBさんの状態に改善が見られたことは、家族にとって大きな希望となったのではないでしょうか。

たとえ寝たきりでも、患者様に残された能力に合わせて適切なケアを行えば、良好な状態を保つことは十分に可能です。住み慣れた我が家で過ごす満足感と、ご家族の愛情、そして専門知識を持つプロのケア――この3つが揃ったからこそ、Bさんは在宅療養を全うし、尊厳に満ちた死を迎えることができたのです。

お父様が回復される日を信じて、介護に取り組むご家族の姿に接したことは、私たちにとっても大きな励みとなりました。患者様とご家族が悔いのない時間を過ごせるよう、私たちも最期の瞬間までベストを尽くしたい。それがお客様にとって何がしかの支えになれば、これ以上の喜びはありません。

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